為替の数字は、基準を逆にすると大小の意味も逆になります。ミハルは何を一単位にした値札かを戻してから共有します。
先に答え:150円から140円なら対ドルで円高
「1ドル=○円」は、1ドルを買うために必要な円の数、つまりドルの円建て価格です。150円から140円になれば、同じ1ドルを10円少なく買えます。円から見れば交換価値が上がったので、これは対ドルで円高です。
ミハルが「150から140へ下がったから円安?」と首をかしげると、ハコはドル紙幣に値札を付けます。値札が安くなったのはドルであり、円ではありません。数字の増減ではなく、何を1単位買う値段かを見るのが最短です。
表示方向を逆にすると、数字の動きも逆になる
ドル円を「1ドル=150円」と表す代わりに、「1円=何ドル」と逆数で表すこともできます。表示を逆にすれば、数字の上下も逆になります。だから「レートが上がった・下がった」だけでは円高か円安かを判定できません。通貨ペアと表示方向が必要です。
式にすると、ドル円が1ドル当たり円表示なら、必要な円が減る=円高、必要な円が増える=円安です。架空例の150円から140円は、円の価値が約7%上がったという単純計算と、ドル円の数値が約6.7%下がったという計算で分母が違います。差を比べるときは、どちらを基準にした変化率かも明示します。
円高・円安には、相手通貨と比較時点が要る
円高は絶対的な状態ではなく、相手通貨と過去の時点に対する相対表現です。円がドルに対して高くなる一方で、ユーロに対して安くなることもあります。「前日比」「年初来」「一年前と比べて」でも判定の始点は変わります。
日本銀行の外国為替市況には、ドル/円の9時時点や17時時点など、観測時刻を持つデータがあります。一日の始値・終値・高値・安値、売値・買値、仲値は同じ値ではありません。記事同士を比べるなら、時刻とレートの種類をそろえます。
「今年最安値」は主語を補って読む
「円が今年最安値」なら円の交換価値が低い意味ですが、「ドル円が今年最安値」なら1ドル当たり円表示の数値が低い意味になり、対ドルでは円高方向です。「円相場」「為替レート」という曖昧な主語のまま高値・安値を読まないようにします。
また、対ドルのレートと実効為替レートは別です。実効為替レートは複数の相手通貨とのレートを貿易ウエイトなどでまとめた指数で、一つの通貨ペアだけを見ません。
為替が動いても、店頭価格は同率・同日には動かない
円安は輸入品の円建て費用を押し上げる要因ですが、契約通貨、予約レート、在庫、輸送費、企業の価格設定が間にあります。150円から変化した割合を、そのまま商品の値上げ率にしないでください。物価指数の変化率と価格水準の違いは「CPIが下がると、物価も下がった?」で整理できます。
金利と為替の関係も一対一ではありません。政策金利と市場の長期金利を分けるには「長期金利と政策金利は、誰が決める?」を参照してください。
次の為替ニュースで見る四行
- 通貨ペアは何か
- どちらの通貨一単位を表示しているか
- いつからいつまでを比べたか
- どの時刻・どの種類のレートか
この四行を埋めてから、円高・円安と書きます。日々の値そのものが必要なときは、日本銀行などの公表元で時点を確認してください。
覚え方: 1ドルの円の値札が安くなれば、対ドルで円高。