金利という一語だけでは、同僚へ何が動いたか渡せません。ミハルは主体と年限を一つ補い、政策決定と市場価格を分けます。
先に答え:決め方と時間軸が違う
政策金利は、中央銀行が短期の市場金利について示す誘導方針です。長期金利は、特定年限の国債などが市場で売買された価格をもとに形成される利回りです。つまり、政策金利は政策上の対象、長期金利は市場価格から出る結果であり、決め方も時間軸も同じではありません。
ミハルが「金利上昇」の切り抜きを一つの棚へ戻そうとすると、トジは「誰が、何年、いつ」の三枚を先に置きます。この三つがなければ、その数字が政策金利なのか10年国債利回りなのかさえ確定しません。
国債価格と利回りは基本的に逆向き
利払いと満期時の受取額が決まっている既発債を考えます。同じ将来受取額でも、安い価格で買えれば購入価格に対する収益率は高くなります。そのため、国債価格が下がると利回りは上がり、価格が上がると利回りは下がるのが基本です。
架空の単純例では、満期に同じ100を受け取る債券を98で買う場合と96で買う場合を比べると、後者のほうが購入額に対する収益は大きくなります。実際の利回り計算には利払いと残存期間が入りますが、「売られて価格下落」と「利回り上昇」が同じ動きの表裏だと分かれば十分です。
長期金利は一つではなく、年限ごとに並ぶ
「長期金利」という一語の中には、10年、20年、30年など異なる年限があります。財務省の国債金利情報も主要年限ごとに値を公表しています。短い年限から長い年限までを並べた線がイールドカーブです。見出しの数字を読むときは、何年物か、実勢価格に基づく算出値か、どの日の値かを確認します。
市場は将来の政策や物価を先回りする
長期金利には、将来の短期金利、物価、景気、国債需給について市場参加者が持つ見方が織り込まれます。このため政策会合で政策金利が据え置かれても、将来見通しが変われば長期金利は動き得ます。反対に、利上げが事前に予想されていれば、決定当日の動きが小さいこともあります。
中央銀行の国債買入れも需給を通じて影響し得ますが、それを「中央銀行が全ての年限を直接決める」と読み替えてはいけません。政策金利から家計の商品金利までの距離は「政策金利と住宅ローン金利」で分けて確認できます。
同じ日の数字を比べても、役割は同じにならない
政策金利と10年国債利回りが同じ数値になったとしても、意味は一致しません。前者は政策運営の対象、後者は特定年限の市場利回りです。また名目金利を読むとき、物価変動を差し引いた実質金利とは別物です。物価の変化率と水準の区別は「CPIが下がると、物価も下がった?」が助けになります。
次の金利ニュースで見る四行
- 政策上の誘導対象か、市場で形成された利回りか
- 国債なら何年物か
- 終値、瞬間値、日次算出値のどれか
- 動いた理由は政策決定、将来予想、物価、需給のどれを指すか
理由を一つに決め打ちせず、まず数字の身元を確定します。財務省の公式データを見るときも、主要年限と基準日をそろえてから比べてください。
覚え方: 「金利」の横に、誰が・何年・いつを補う。